多くのマークダウンエディタはドキュメント作成のために作られています。READMEを書き、コードブロックを整え、リリースする。それはそれで結構です。しかし小説を書く、エッセイを練る、長いブログを書くという活動は、まったく別ものです。何日にもまたがる語数を追いかける必要があり、文章が冗長になっていないか確認する必要があり、ツールバーやパネルではなく、書いている文章そのものへ意識が向く環境が必要になります。
そこで BluePad にライティングモードを作りました。ショートカット一つ(Ctrl+Shift+W)で、マークダウンエディタが作家向けツールに近い状態へ切り替わります。この記事では、その中身と設計の理由を順に紹介します。
作家が本当に求める三つのこと
実際の作家がエディタをどう使うかを観察すると、ある傾向が見えてきます。執筆で大切な機能は、ドキュメント作成で大切な機能とは違うのです。作家が気にかけるのは次の三つです。
- 時間の経過に沿った進捗 — 今日の目標にどれだけ近づいたか?昨日は書いたか?先週は?
- 今この瞬間の集中 — 今書いている文だけを見ていたい。前の段落に視線を奪われたくない。
- 自分の文章への気づき — 文が長すぎないか?副詞を多用していないか?
ライティングモードはこれら三つを、エディタ右側のパネル一つにまとめています。書き終わったらまた閉じておけば大丈夫です。
1日の目標と30日ヒートマップ
1日の目標を設定すると、進捗バーが現在地を教えてくれます。執筆をゲーム化するのが目的ではありません — ゲーム化はしばしば逆効果になります — 自分が今どこにいるのかをはっきり示すためです。200語で十分な日もあれば、2,000語を軽く超えていく日もあります。
バーの下には30日ヒートマップがあります。GitHubのコントリビューショングラフのような形で、1マスが1日です。色が濃いほどたくさん書いた日です。執筆習慣を一目で振り返れる、控えめな記録です。
ヒント: 最初は目標を小さく
毎日達成できる小さな目標は、何度も逃す大きな目標よりはるかに役立ちます。300語から始めて、連続記録ができてから上げてください。ヒートマップは量より継続を褒めてくれます。
タイプライターモード — 視線を一行に
タイプライターモードでは、今書いている行が画面の中央に保たれます。入力するとテキストが上へとスクロールしていきます。視線はページの下方に降りていきません。安定した水平線の上にとどまります。
30分ほど試してみてください。小さな変化に見えますが、このモードを使う作家は首の疲れが減り、集中が長く続くと話します。視線が画面の上下を行き来しなくなります。残るのはカーソルと、その両側に現れる言葉だけです。
ハイライトモード — 今の段落だけを鮮明に
今書いている段落だけが鮮明に保たれ、ほかの段落はうっすらと淡くなります。文書の構造 — 見出し、リスト、これまで書いた内容 — はそのまま見えますが、視線を奪うことはありません。
二つの面で効きます。一つ目、考えるべきことが一つに絞られます。初稿で作家が望む状態です。二つ目、書いたばかりの部分を執拗に直したくなる衝動を抑えられます。下書きが止まる最大の原因の一つは、まさにこの癖です。
スプリントタイマー — 散文のためのポモドーロ
ライティングパネルにはスプリントタイマーがあり、10分、15分、25分、45分のプリセットが並んでいます。ポモドーロから借りた代表的な25分スプリント + 短い休憩が最も使われますが、もっと短いリズムが合うときもあります。とくにセッションの開始直後、カーソルが重く感じる瞬間に。
タイマーが終わると短いチャイムとデスクトップ通知が一度だけ鳴ります。休憩するか、もう一度走るかはその場で決めれば大丈夫です。タイマーはオプトインで、ポップアップが連発したり、しつこく催促することはありません。
文章分析 — 静かな編集者
ライティングパネルの下部には、書きながらリアルタイムで更新される小さな統計が並びます。
- 平均文長 — 語数ベース。
- 長文 — 25語を超える文の数。常に悪いわけではありませんが、意図的であるべきです。
- 受動態 — 多用すると警告が出ます。叙述では能動態のほうが明快なことが多いです。
- 副詞 — 英語の -ly、韓国語の「~게/~히/매우/너무」など。削っても通じる場合が多いです。
- 冗長語 — "just"、"really"、"basically" などの英単語。文からエネルギーを奪います。
- 読みやすさスコア — Flesch reading ease 公式に基づく大まかな目安。
しきい値を超えると数字がオレンジに変わります。これに執着するのが目的ではありません。原稿と原稿の間に軽く眺めて、ふだん見過ごしていたパターンに気づくための道具です。1,000語の文章に長文が20も並んでいたら、いくつかは確かに分割した方がよいでしょう。
専用ライティングアプリを使えばいいのでは?
Scrivener や Ulysses といったアプリは、最初から作家のために作られています。素晴らしい道具です。ただし独自フォーマットに縛られたり、月額制だったり、特定のOSでしか動かなかったりします。プレーンなマークダウンで書きながら作家向け機能の大半を得たいなら、選択肢はこれまで限られていました。
BluePadの方針はシンプルです。ファイル形式はプレーンマークダウンのまま — 自分のフォルダ、データベースなし — その上に作家向けの機能を重ねます。ライティングモードはいつでもオフにでき、そのときはただ高速なマークダウンエディタに戻ります。ファイルは常に持ち運び可能です。
始め方
すでに BluePad をインストール済みなら、任意のマークダウンファイルを開いて Ctrl+Shift+W を押してください。右側にパネルが現れます。1日の目標を設定し、スプリントの長さを選び、書き始めましょう。
まだの方は、Windows 向けに無料でダウンロードできます。トライアルで14日間、すべてのライティング機能をお試しいただけます。サインアップやアカウント作成は不要です。